知らないことばかり














昼食も買い物も済ませて息をついたときには夕方になっていた。

「いっぱい買ったねー」
「はい・・すみません。ぼくのものばっかりで・・」

自分のものでさえ、一度にこんな買ったことなかったからそんな感想が洩れる。
アレン君が恐縮したように謝ってきた。

「いいのいいの。アレン君の物を買いに来たんだから」
「・・ありがとうございます」

自分の失言にしまったと思いながら、笑ってそう答える。
アレン君はちょっとだけほっとしたように表情を緩めて、お礼を言って来る。
それにほっとして、私も笑みを深めた。

「あ、夕飯は何が良い?」
「なんでもいいですよ。さんがたべたいもので!」

バスを待ちながら夕飯の買い物も行かないと行けないことを思い出して、アレン君にそう聞く。
アレン君は小さな袋を持ってくれながら、にっこり笑ってそう答えた。

「作る側としてはそれが一番困るんだけどねー・・んー、じゃあハンバーグなんてどうかな?」
「いいですね!ハンバーグ!」

顔が整ってる分可愛いなー・・なんて思いながらそう提案してみると、アレン君が嬉しそうにそう言う。
一人暮らしだと、食事でそんな反応なんてないからすごく新鮮だった。

「良かった。じゃあ、荷物置いたら、買い物付き合ってね?」
「はい!」

なんとなく、頑張っちゃおうって張り切りながらそう答える。
頷くアレン君ににっこりと笑い返して、丁度来たバスに乗り込んだ。
家に着くと休む間も無く荷物を置いて家をまた出る。
アレン君と手を繋いで近所のスーパーまで歩いた。

「アレン君のいた場所ってどんな所?」
「え?ぼくのいたところですか・・?」
「うん」

急ぐ必要もないからのんびりと歩きながら、ふと興味があったことを聞く。
アレン君は一瞬不思議そうに私を見上げて聞き返してきた。

「ぼく、こくせきはイギリスなんです」
「イギリス?じゃあ・・帰ろうと思えば帰れるんじゃない?」

アレン君はどこから話したら良いか少し迷ったように視線を前に戻しながら、そう話し出す。
知ってる場所だったことに驚いて、でもそれなら帰れなくはないとそのことを口にした私。

「それは、ないとおもいます」
「どうして?飛行機で行けば・・」
「ぼくがおもうに・・ぼくがいたせかいと、ここはぜんぜんちがうみたいなんです」

だけど、アレン君は驚いたように私を見るとそう呟いて、難しい表情を浮かべながらそう答える。
それに首を傾げてそう口にした私に、アレン君がそう言った。

「違う、世界・・」

まぁ、突然現れたこととか考えれば、それもなくはないのかもしれないけど・・。
今一、ピンと来ない。

「たぶん、ですけどね」

そんな私に気づいたのか、アレン君はにっこりと笑ってそう言う。
それに笑い返しながら、ふとアレン君の心情を考えた。
いきなり知らない場所に放り出されて、寂しいんじゃないだろうか・・。
こんな小さい・・あ、実年齢は15歳だって言ってたっけ・・。
それでも、やっぱり・・アレン君だけじゃなくて、家族とか友達とかも心配してるだろうな・・。

さん?」
「あ、なに?」

悶々と考え込んでいると、アレン君に呼ばれた。
それにはっとして立ち止まりながら、アレン君を見て聞き返す。

「いえ・・スーパーとかいうみせって、あそこじゃないんですか?通り過ぎちゃってますけど・・」
「・・あっ、やだ・・ごめんごめん」

アレン君はどこか困ったように笑うと後ろを振り返ってある場所を指差しながらそう言った。
指差された先を見れば、アレン君の言うとおりにスーパーが立ってる。
私は慌ててそう答えながら、方向転換した。

「いえ、いいんですけど」

アレン君はそう答えながら、どこか楽しそうに笑った。


















Next